お正月飾りの歴史 『古事記』[こじき]の「神代巻天岩屋戸」[かみよのまきあめのいわやと]の段には、天照大神[あまてらすおおみかみ]が天岩屋戸から出た後、岩屋戸に縄を張り、天照大神が再び中に入って国中が闇につつまれることのないようにした、とあります。この縄は「尻久米縄」[しりくめなわ]と記され、これがしめ縄のはじまりと考えられています。稲わらには聖なる力があると考えられています。 小野妹子[おののいもこ]が遣随使[けんずいし]から持ち帰った献上品に、紅白の美しい麻糸がかけられていました。その後、贈答品やお祝いの品に、美しい飾りひもで装飾することが流行しました。これが、しめ飾りに飾られる水引のはじまりです。高価な麻糸や綿糸は、時代とともに細い紙にのりをつけて固めた水引に変化して、お正月 飾りや慶弔それぞれの状況で、結び目に心をこめて贈られるようになったのです。 平安時代には、宮中や貴族のもとで正月を祝う行事がすでに行われていました。現代のような装飾的なお正月飾りは、江戸時代に広まったと考えられています。粋を好んだ江戸庶民の気風が、祖霊信仰と融合して、日本独自のお正月飾りが飾られるようになったのです。 ちなみに、縄やひもを結界に用いて、神域と下界を分ける風習は、世界各地にありますが、日本のお正月飾りのように華麗で装飾的な様式のものは、世界中どこにもなく、お正月飾りは日本が誇るすばらしい伝統文化といえるでしょう。
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